2009年6月16日
P電工主催の、深澤直人氏のセミナーに行ってきました。
深澤直人とは。。。
世界的にもその名が知れるプロダクトデザイナー。
MUJIのCDプレイヤー(MoMA永久保存)や、携帯AUの「INFOBAR」は周知のとおり。
「±0」ブランドを設立。
数年前からP電工と密接な関係にある氏は、住宅設備である、ユニットバス、WC(アラウーノ)、キッチン
や、家電のドライヤー、マッサージチェア、また照明器具などの商品を、抜本的にテコ入れすべく、
社外ディレクターを務めていたり、ここ数年ミラノサローネでもP社とタイアップ出展しています。
セミナーでは、過去のP電工商品のデザインプロセスや、氏が考えるプロダクトデザインの思想について。
例えば、ユニットバス。
それは浴槽というアイコンを削り取るところから。
わかりにくいところから、やっていくことで意識をつくる。
具体的には浴槽と壁パネルの止水コーキングが従来8.3mmだったところを5.6mmにする、
床と壁の間の幅木を極力小さくするとか。。
一見どこが変わったかわからないような、「隅とフチ」を追及することで品質を高めています。
こうじゃないとつくれないという製造上の理屈が、ユニットバスとはこうだ、という集団的無意識を
つくりあげてしまった。
シーズンごとに発表される新製品は、コテ先だけの変貌である(もちろん技術の向上もありますが・・)
印象的だった言葉が、「新しくしようとしない」「新しくしなくていいのでは」。。。
氏の出した答えのひとつが、このユニットバス。
昔ながらの、すのこの浴室。
でも腐らない加工をした木で。
その下に防水パンもあるのに、脱衣場とはバリアフリー。
なんら目新しくみえませんが、こうするのに相当なディスカッションや技術力が
反映されていることを察します。
日本の高レベルな技術に、集団的無意識を打破すべく発想力が注がれることで
デザインが生まれます。
自分のHPにも書いていますが、単なる造形や装飾だけでない、まさにこれが「デザイン」だと思っています。