非常勤講師先の愛知産業大学も対面スクーリングが開催できず、既にe-ラーニング講義をいくつか実施、本日はZOOMを利用しての講義を開催。
「建築造形」 これは本学で建築を学ぶ学生の初学的な位置付けになる講義。
前段。
そもそも日本では Architecture の訳語は、明治初期には「造家」だった。建築という言葉自体はすでに存在していたが、今で言うところの「建設」の意味であるconstruction が「建築の術なり」と解説されていた。その後、伊東忠太が論文で工学ではなく総合芸術としての属性を表す語として「建築」という訳語がふさわしいと主張しこれに変わった。120年ほど前の話である。
建築デザインはアートではない。。。。。
そんな前置きから、課題は「建築造形」として、
1.犬小屋 2.バス停 3.モニュメントを模型でスタディし提出するというもの。
犬小屋のデザインに際して、犬の気持ちにはなれないかもしれないが、学生たちに客観的な視点を促すことが目的の一つでもある。ゆりかごのように楽しめたり、登ってみたり、隙間から顔を出して外をみたり、 他方で、飼い主の目線になるなら、小屋の一部に腰掛けられたり、手軽につくれるキットになっていたり、 分解して旅先に持っていけたり、、、
過去に建築家たちが真面目に犬小屋をデザインしたエキシビジョンも(こちら)
バス停はこの3つの中でより機能を考える要素がある。座る場所がいるのか、逆に都市部の利用者が多ければ椅子は必要なときだけの折りたたみ式とか、背面からの視認性、一方でドライバーからの視認性、寒い地域なら風除室も、雪国なら耐雪強度を考慮した構造的なスタディも、、、環境面ではのどかな場所で公園が近いなら座って待っているときに緑が透けてみえたり、バスを待つ人だけじゃない近隣の井戸端会議の場になったり、観光地ならファミリーやカップルを意識した非日常的なデザインになったり、、、
ちなみにこれは過去に訪れたバス停。ドイツはヴィトラ 社にあるもので、椅子は自社商品であるワイヤーチェアが3脚備えられている。
モニュメントは何かを記念して建造されるものとして、直喩ではなく隠喩(俗に言うメタファー)を意識してもらい、視る人、体感、体験する人に、思考することを提供するものになってほしい。
これも実際に訪れたもの。モエレ沼公園にあるイサム・ノグチの作品。直径2mの円柱の表面は特殊な磨き方をしており光線を浴びると多彩な輝きを放ち、芝の緑と対比して観るものに強い印象を与える。ノグチの目指した世界を体感できる。
そして北海道百年記念塔は北海道開拓に尽くした先人の労苦に感謝の意を表し、さらに未来の輝かしい郷土を築こうと遊民の決意を造形的に表現したもの。
と、こんな講義をして学生たちに後日スタディしたものを大学MoodleにUPしてもらい講評、採点をすることになります。