2008年5月27日
■11日目 5/15 木
前日の夕方出発したフェリーはまもなくフィンランド到着。
デッキに出ると陸が見えてきました。
朝10:00上陸。
ホテルのチェックインまで時間があるので、行きたいポイントを廻りながら
市街地まで歩くことに。
ただ、ストックホルムを発った時点で、僕の荷物はスーツケースに入りきらず
現地で調達した簡易バッグも既にパンパン!
しかもガラス製品や食器のワレモノ多数・・・(ようするにお土産の買いすぎです)
でもめげずに街並散策を兼ねてひたすら歩くのでした。。。
最初に向かったのは、「かもめ食堂」。映画で撮影に使われたカフェです。
(実際はSUOMIという名ですが、日本語で書いてある!)
他にも美術館に寄ったり、ショップに寄ったり。。。
アエロというショップはミッドセンチュリーの巨匠エーロ・サーリネンの
家具をはじめ、フィンランドファニチャーを扱います。
そしてどんどんフィンランドが生んだ建築家、アアルトの息がかかった?
ゾーンへ進みます。
SAVOYは1937年創業の高級レストラン。
アアルトも顧客リストに名を連ねていたそうです。
皆さん見たことがあると思いますが、「サヴォイベース」(iittalaで販売されている)は
この店のためにアアルトが湖イメージしてデザインしたものなんです。
せっかくなのでランチをしよう!とビルの8階へ上がるとドアの向こうは
格式高い雰囲気。
現地セレブの方々はこの寒いのに、ほとんどが外のテラス席で食事を楽しんでいる。
(唯一中で食事をしていたのは、日本人の新婚らしきカップルでした・・・)
お店の人に断ってインテリアの写真を撮らせてもらいました。
各テーブルには、そのサヴォイベースが置かれていました。
帰り際に I’m grad to meet the AART design.ってな会話をしてたら、
ウェイトレスが奥のスペースにあるサヴォイベースのプロトタイプが並ぶ
ショーケースに案内してくれました。
(高さが1mくらいあるものも・・・はじめて見ました)
あとで冷静に計算したら、ライトランチコースにビール1杯で、1万2千円。(もちろん一人で)
でも、サービスもよく、アアルトも通った店にもこれたし、よかったかな。
これまで、ずっと質素な食事ばっかだったから・・(アムスのオークラで以外は)
そしてホテルで荷物を身軽にして、引き続き街へ。
国立現代美術館「キアズマ」は1998年にオープン。
設計は米国人建築家スティーブンホールです。
館内に入ると、吹き抜け空間をスロープが緩やかにカーブを描き、トップライトからの
間接光が壁のテクスチャーを際立たせる。
近づいてみると、壁は杉板型枠のようなコンクリート打放し。
右の写真は、テーマ別の各ゾーンのゲートはデザインもグッド。
近づくとこれ全体が自動で開きます。
収蔵作品も立体あり、デジタルアートありでなかなかよかった。
色んな国や都市に出かけて、美術館に訪れその作品も建物も見るのは
必須なんですが、特に現代アートをどれだけ扱うのか、作品の構成や質がどうかは
自分の中ではポイントです。。。
これはキアズマの外観。
これ郵便局。
アムスでもそうでしたが結構斬新なデザインです。
こちらは岩の中にすっぽり埋まっているかのような「テンペリウオ教会」。
岩を自然の形に保とうというコンセプトのこの建物は、設計コンペで
ティモ&ウモ・スオマライネン兄弟の作品が採用されました。
内部は荘厳な印象です。
そして今回の旅のメインといってもよかろう、「アアルト」設計の建物をいくつか。
こちらは「フィンランディアホール」。コンサートホールです。
残念ながら内部には入れませんでしたが、近づいてみると、外壁の大理石のピースが
ひとつづつ湾曲した表面で、馬張りになっています。
北欧の空と周囲りのグリーンに、白い外壁がよく映える。
アカデミア書店の中には、アアルトの名を冠した国内唯一のカフェ
「カフェアアルト」があります。
■12日目 5/16 金
とうとう観光も最終日。
アアルトの真髄に迫ります。
まずはヘルシンキ工科大学へ向かいます。
バスターミナルから市バスで30分。
巨大なキャンパスにはアアルト設計の建築が並びますが、メインはオーディトリアム
でしょう。
この扇状のフォルム。内部はそのまま講堂のデザインになっています。
近づいて外装を見ると、タイルではなくレンガ。
ちょうど補修工事中らしく、そそくさと下から覗き込んでみると、
レンガが躯体外のカーテンウォールになっていました。
学生会館やライブラリーも中に入って、ディティールなんかを観て廻りましたよ。
これは研究室棟の間のアトリウム。
大学をあとにし、市内に戻ったあとは、「アアルトのスタジオ」見学へ向かいます。
トラムで移動し、湖沿いの閑静な住宅街。
少し迷いましたが発見。
12:30ジャストにガイドツアーが始まるのを前に、既に建築オタクが数人
待っていました。(自分も含めまして・・・)
※特に予約は不要で直接その時間に行けばOKです!
道路からみる外観は塀に囲まれて、その様相は伺えず、まだ時間があったので
グルっと裏手に回ってみました。
敷地は高低差があるため、低いゾーンとから玄関を入り、同じフロアには
キッチンと食堂。階段であがるとアトリエがありますが2階というわけでなく
グラウンドレベルにあります。
現在はアアルト財団の事務所として機能しているだけですが、当時のままデスクが
並び、ミーティングスペースの光の取り入れ方などは参考になりました。
下の写真のコミュニティスペースは中庭に面しており、上の写真が外からみたそれです。
その中庭は、扇状のシアター風に作られており、奥の白い壁に向かって
クライントを集め、プレゼンに使ってたりしていたそうです。
こんなオフィスで働きたいですね!というか日本でデザインしてみたいですね!
(つくるなら軽井沢あたりかな・・)
次は「アアルト自邸」。
こちらもきっかり、14:00オープン。
時間まで、寒いのに外をうろうろ、住宅街を観察します。
開く頃に戻ると、日本人の女の子が一人で来ていました。
あとで少し話をしたのですが、ヘルシンキ郊外の学校へ、木工のデザインを勉強しに
1年間留学に来ているとのこと。
そして、これがアアルトが過ごした家です。
内部もアアルトらしい北欧のデザイン。
光の取り入れ方や、木の素材感。日本人にも受け入れやすいカンジですね。
可動間仕切りや、キッチン、ダイニング廻りには、収納の仕方に色々小細工が
してあります。ペンダントの照明器具はおそらくオリジナルのデザインでしょう。
ところどころに床から天井に貫くスチールのパイプがあり、ガイドに聞いてみると
ストラクチャーとのことでした。
鉄骨と木造の混構造ってところでしょう。
フィンランドという国は、20世紀の前半までスウェーデンやロシアにずっと
支配されてきた。それまでは著名な建築家もほとんどおらず、戦後の近代国家の中で
アアルヴァ・アアルトが、建築デザインの礎を築いたといえます。
一時期は世界的ブームのモダニズムに傾倒しますが、祖国に立ち返り、自然や環境との
融合をより重要視するようになっていったようです。
■13日目 5/17 土
朝ホテルをチェックアウトし、ヘルシンキ空港へ。
飛行機からフィンランドを見下ろす。湖多いですね。
旅の間ずっと日記もつけていて、レポートはこれでおしまい、と思いきや。
トランジットのパリ・シャルルドゴール空港でちょっとした出会いが!
セキュリティの列に並んでいると、おそらくビジネスの列に一人の日本人男性。
背後からうかがうに・・・なんと伊藤翔では!?
距離が近くなったので、声をかけるとやはり本人。
その場は、列も進むので二言、三言会話をしたくらいでしたが、しばらく経って
NAGOYA行きのゲートへ行くと、彼が座っていて、「隣どうぞ」っていうから隣の席へ。
ボーディング待ちの間、結構長い時間話をしました。
去年中京大中京高を卒業してフランス2部リーグ・グルノーブルに入団したあの!
(もちろんフットボールネタですよ・・・)
在校中から、ベンゲルの目に留まり、アーセナルで練習にも参加し、いざフランスへ。
大黒や松井や、森本とも親交があるみたいです。
来期も残留で、チームは1部昇格が決定。
活躍すれば、スポルトのマンデーフットボールで取り上げられるかもね~
地元から世界へ!ほんと頑張ってください!って応援しました。
よく考えたら、彼19歳、僕38歳、ダブルスコア?ですね。
最後にサインをもらい、写真も一緒に撮りましたよ!
出だしからハプニング、途中でもアクシデント、ほんと苦難が多かった今回の旅行。
スタッフには仕事を任せっぱなし、取引先やお客さんには打合せを空けてご迷惑も
お掛けしました。
なにより妻、子供も置き去りに、僕の勝手な好奇心を尊重してくれた家族に感謝です。
色々観たり、体験したりできて本当によかった!
ありがとうございました。