8月第一週に日経夕刊で5日間に渡って掲載されていた、サントリーHD副会長 鳥居信吾氏のコラム。
日経朝刊では2016年7月から翌年9月まで、伊集院静原作小説の「琥珀の夢」が連載されていた。
その主人公はサントリー創業者の鳥井信治郎。たくましい商魂で「日本に洋酒文化を」との夢にまい進した信治郎と、志を受け継いだ末裔の姿を通じて、近代化以降の日本人の生き方を描かれたもので、毎回楽しみに拝読していた。
そして今回のコラム。信吾氏は信治郎の孫にあたる。
冒頭からお爺さんとエピソードが興味深く、お年玉は決まって5百円札1枚だったこと、家族間でも敬語だったこと、社員の子供さんが就学するときにはランドセルを贈っていて現在もこの慣習が続いているんだと。
話はウイスキーにうつり、初代マスターブレンダー鳥井信治郎から、第二代は叔父にあたる佐治敬三、そして第三代が信吾氏。非上場会社であるサントリーは世襲経営といえど、事業責任者の継承は味覚嗅覚も備えるのか!と生物的世襲が起こり得ることに感服してやまない。
そしてワイン。周知の通り、名門シャトー・ラグランジュを買収、フランスでのワイナリー経営にも参画するが、当時すさんでしまっていたワイナリーの立て直しは並大抵のことではない。だが見事に復活し、ボルドーメドック格付け第3級に恥じないワイナリーに導いたのだ。