自転車に乗るのが趣味ですが、本格的にロードバイクに乗り始めたのは40歳を過ぎてから。もっぱら輪行して田舎道を長距離走ったり(しまなみ海道、琵琶湖一周、四国縦断etc)、アマチュアレース(乗鞍ヒルクライム、鈴鹿エンデューロetc)に出たりもしますが、市街地で自動車と並走するのはやはり恐い。
練習は室内のスピンバイクか、屋外ならモリコロパークのサイクリングコース。自宅からは自走8.5kmでルートのグリーンロードは歩道の自転車レーンが整備。コースに着けば一周5.1kmで障害物なく気持ちよく走れる(子供さんの自転車練習やファミリー走行もあるのでスピード出し過ぎは注意しながら、、です)
グリーンロードは自転車レーンとはいえ歩道内のシェア。名古屋市内では桜通と伏見通の一部でガードパイプ区画の自転車専用道が整備されているくらい。
確かに桜通のような幅員が広い道路は車線を犠牲にして自転車専用道を獲得することはできるが、一般道では難しく歩道に整備していくのがやっとかと。名古屋市の今後の整備計画はこちら。
ちなみに東京青山では2012年からBicycle street Design competition Aoyamaなるものが開催され、建築家が自転車に優しい街(自転車専用道や駐輪場の整備など)について提言。
自転車好きを公言する建築家の千葉学氏が発起人の建築家指名コンペ。
ただこれも数回開催され2016年で終了、実際に実現されたものはないのが実情。東京都では元々自転車道の整備構想はありながら、このコロナ渦で新しい生活様式の模索の後押しもあり、国交省が整備を加速するよう。
では海外はどうか。欧州と米国の事例。
ドイツ。
なんと国土の37%が道路(自動車道、自転車道、歩道、橋、運河が含まれる)で、これは森林率30%より多い。ちなみに日本は国土の森林率67%
人口の約80%が少なくとも1台の自転車を所有しており、ドイツ人の約11%が自転車で通勤、買い物などを行っている。
(交通利用割合:自動車55.8%、歩行21.1%、公共交通11.5%、自転車11.4%)
続いてデンマーク。
数年前まで首都コペンハーゲンは、欧州でも空気の汚れた都市として認知されていたが、10年ほど前から「人のための首都」というスローガンのもと、CO2・騒音・大気汚染の削減のため、世界一自転車にやさしい街を目標とした政策をスタート。その一環として、自転車専用道と高速自転車専用道を整備し自転車利用を促進。
さらに、自転車を持ち込むと電車運賃を無料にする法律が実施。他には駐輪場や自転車道など、自転車に関するインフラをデザイン性の高い建築やオブジェ、看板で構築し、利用者を増やすことに大きく貢献。現在では、市民の半数以上が自転車通勤だと。(交通利用割合:自動車24%、自転車29%、歩行19%、公共交通18%)
自転車所有率が世界で最も高いというオランダ。
中でも大学都市フローニンゲンは、自転車使用率なんと61%。これには理由があり、人口約20万人のうち18%は主に自転車を交通手段とする学生が占める。ただ法整備にも要因があり、車で市の中心部に入る場合、町の周囲の環状線を通って遠回りをしなければならないというもので、市の中心部に向かう車の使用を大きく制限するもの。
それに伴い、自転車道の設備や、自動車の大型駐車場が公園に代わるなど緑化運動も行われ、現在のフローニンゲンはオランダの中でもっとも空気がきれいな都市に生まれ変わり、その中心部は驚くほど静かだと。
2008年にオランダ・アムステルダム 訪問時も自転車の街であること実感。
アメリカ・ポートランド。
1990年代の初めまでは、自転車を利用する市民の数もインフラも少なかったと。1990年の自転車通勤者数は1.2%にも満たなかったが、現在は7%まで伸びており、中心地での自転車の利用数はその3倍に。ポートランドはアメリカでもっとも自転車にやさしい都市なのだ。
365kmにわたる自転車道網を設備し、今日では600kmまで拡張。道幅が1.5mの広々としたこの自転車専用道は誰もが走りたくなる町の自慢であり、近年では安全性を考え、車道の隣ではなく車道から独立して設けられている。
ポートランドには10年前から「Sunday Parkways」といわれる運動もあり、ある地区をクルマの進入禁止ゾーンにすることで、自転車を日曜日のサイクリングのためものではなく、通勤の足にすることを促進するプロジェクトがある。他にも子供の自転車通学を安全かつ魅力的にするプログラムや「smart bikes」といわれる自転車のシェアリングがスタートし、GPSで管理された自転車を簡単に借りられるそう。
自転車文化が古くから浸透している欧州、国土が広いアメリカ。日本ではこれらの事例をそのまま採用することはできないだろうが、某大企業が先導する車の自動運転を主軸にしたモビリティ社会に自転車もちゃんと絡めて推進してほしい。
最後に、開催すら危ぶまれたツールドフランスが無事開催できたことは、選手のみならず関係者の多大なる尽力があったこと、ほんとこれは素晴らしかった!
ツール史上2番目に若い22歳のポガチャルの総合優勝、最終ステージ前日に惜しくもマイヨジョーヌを譲ることになってしまった30歳のログリッチ。なんと同国スロベニアの新旧巧者であること、天国と地獄が入れ替わった対照的な二人がパレードランでお互いを称えあったシーンは涙もの。
自転車競技と自転車文化、万歳!